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小説・詩・他いろいろを載せて行きたいと思います。 旧サイト(http://kleinewelt.nobody.jp/)の作品も順次こちらに移動させていきます。 ブログでリハビリしながら、またサイトを作っていきたいなあと、のんびり思っている次第です。 それでは、よろしくお願いします。
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詩〈記憶の中の消失ポイント〉

〈記憶の中の消失ポイント〉

人が心配してくれるとき
それはその人が心配してほしいこと

君は言いながら、
うっすらわらった。


雨の日
傘が揺れて
水滴がひとつふたつ


ワタシは雨音を聴きながら、
呆けたように傘を見ていた。

黒くて、大きな

すっぽりと隠してしまう

君を
ワタシを
視界から
切り取るように


心配してほしいの?

かすれた声

心配してほしいの

揺れる声


風が強く吹いて、
雨音がバタバタ響いた。

だから、
君の返事が聞こえなかった。


心配してくれるの?

心配してあげる


ワタシが聴きたかったのは、
どの返事だったかな。


黒い傘は、
全てを覆い隠して、
ワタシの視界の一部を切り取り、
見えなくした。


ざあっと雨が降り注いで、
閉じた目を開けたときには、
誰もいない。

濡れた服が気持ち悪くて、
はりつく髪がひりひりした。


心配してほしいの?

心配してくれるの?

ぱくぱくと口を開けて閉じて、
小さく呟いた。

その時の雨の味を覚えている。


2010227
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