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小説・詩・他いろいろを載せて行きたいと思います。 旧サイト(http://kleinewelt.nobody.jp/)の作品も順次こちらに移動させていきます。 ブログでリハビリしながら、またサイトを作っていきたいなあと、のんびり思っている次第です。 それでは、よろしくお願いします。
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《詩》否定系


否定形で入る人は苦手だ
否定ばかり言う人は嫌いだ

とても良いものかもしれないのに
そっと隠れるように
とても素晴らしい点があるかもしれないのに

どんなものもたいていは臆病で
一番素敵な部分は恥ずかしそうに隠れている
目立つのはいつも損な部分だ

そればかりを挙げ連ねて
否定ばかりする人は嫌いだ

否定の目隠しで
他を全く見ないところが嫌いだ

だから
僕は僕が嫌いだ

20110510
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モノクローム《詩》
《モノクローム》

ゆらゆら 世界の終わり
届いてしまった ぼくはひとり
崩れてく 昨日と明日
今もまた 曖昧なカゲロウ

日常から逃げ出したのは
影が追いかけてくるからで。
どこまでも、どこからも。
みんなが笑ってる。

ゆらゆら 世界の果てで
動けない ぼくはだれ?
塗りつぶされて 白くなる黒くなる
今はもう 曖昧な影法師

自分からも逃げだして、
とうとうぼくも消えていく。
どこから、どこまでも?
さいごに残るのは何?


ねえ、何もないはずなのに。
不安がまだ消えないよ。

世界の果てまで 来たというのに
ぼくの意識は縛られたまま
ゆれる境界線の向こう側に、行きたい。
けど、肉体を失ったぼくは、動けない。

この不安を消してよ
この不安をこの不安をこの不安をこの不安を
消して消して消して消して、消して

ゆらゆら 拒絶されて
ぼくは不安だけでここにいます

201129
初飛行 《詩》



空を飛べると無邪気に信じた少女の初飛行は、
上下逆転 世界の中心で、誰かの悲鳴が止まらない。
ヒトにはハネがないの。
わかってしまった切なさは、
ちょっと醒めた目をした大人に少女を変えてく。

空を飛べると無邪気に信じた少年の初飛行は、
上下逆転 世界の中心で、誰かの悲鳴が止まらない。
ヒトにはハネがないって。
わかってしまった悔しさは、
ちょっと熱い目をした子どもに少年をとどめた。


ばかじゃないの、
少女が嘲れば、
ちょっとさびしそうに、少年は目をそらした。

あの日つないでいた手は、空っぽのまま、宙ぶらり。


空を飛べるって無邪気に信じたあの日から、
世界は逆転 離れ離れ 誰かの悲鳴が止まらない。
いつの間にか、離れた手が、
いつの間にか、届かなくなった。
ちょっと不在で、確かめても変わらない。

ばかじゃないの、
少女が嘲れば、
少年はちょっとさびしそうな目で、笑った。


強く強く握ってたはずの手は、
かんたんにかんたんに離れてしまった。

強かったはずの気持ちは、
あの時、骨と一緒に折れたのかな?
自問する少女は、ひとり空を見上げて、
ぎゅっとぎゅっと手を握った。

強かったはずの気持ちは、
今はどこにあるのかな?
探し出せたらいい。
ぎゅっとぎゅっと少年は手を握った。

誰かの悲鳴が止まらない

20110129
詩《自分勝手な恋の歌》
詩《自分勝手な恋の歌》


さいごにひとつだけ
おねがいをきいてくれますか
あなたのそのきれいな指を
この細い首に絡めて
きゅっと 縊ってくださいな

きれいなままで さよならなんて
言えないの どうしても
真っ赤な痕さえ残れば
白い包帯を巻いて
去っていきます。


さいごにひとつだけ
おねがいをきいてくれますか
あなたのそのきれいな指を
この細い首に絡めて
きゅっと 縊ってくださいな

醜く歪んだその瞬間を
この目と心に刻みつけて
真っ赤な痕さえ残れば
白い包帯を巻いて
消えてしまうから。


きれいなままで
おわれないの
どうしようもなく傷ついて
貴方を穢してしまいたい
それくらい、許されない?

はっきりと ついた痕さえ残ればいいの


そうして
いつか私は包帯を外して
細くて白い首を晒して
新しい人を見つけます。

20101019


詩 《The Well》
《The Well》


そこから何が見えますか
ボクは哀れに見えますか
泣き叫ぶ君を見下ろす
ボクは何に見えますか


ドレス羽織って 覆い隠して
目隠しされた 君には
けっきょく 何も見えてない
ただ犬を抱えて
震えていればいい
そうやって見ないふりしてるんだ
君もそうなんだ

いつだってそうさ
ホントのことをみんな
見ようとしない
ただそっと 視界から外して
見えてないと思うのさ


底から何が見えますか
ボクを恐れていますか
泣き疲れた君を見下ろし
ボクの過去を見つけます

ボロをまとって すがりつく
求め続けたボクを
あなたはいつも見ていない
ただ犬を抱えて
ゆっくり塗りつぶされる
ボクは何なのか
ボクが何のか


そこから何が見えますか
ボクは哀れですか
ボクを恐れてますか
泣き叫ぶ君の声に
ボクは何を見てるかな
ボロで覆い隠した
過去の痕が固まって
君の姿をしている

please, love me...


20100901
詩 《恋花火》
《恋花火》

静かな夜の海岸に
いちばん小さなコンビニの
花火のセット 提げて歩いた
風がつよくつよく吹いてます

笑ってしまうなあ
泣いてしまいそうなニオイ

恋花火 散っていくのを
ただただ黙って 見てました
何を言っても変わらずに
サイゴまできれいだったから


白鳥のオブジェ 背にして
石のタイル 黒いシミがたくさん
先客がいたみたい
ばさばさと広げた

恋花火 ふくらんでいくの
ただただじっと待っていた
何も言えなくて 言えない
最初の火花 覚えてますか


欲しかったのは最初から
たったひとつのものなのです
ろうそく立てて マッチをすって
小さな小さな 火をつける
そう 最初はきっとこうでした


線香花火 丸まって
真っ赤な塊
はぜてはぜてはぜて
落ちた


恋花火 まぶたの裏に
あの日は さみしい青い空
夜の海岸で 僕はひとり
泣けもせずにひとり
波の音だけ聴いてます

20100901
詩 《気休めの呪文》
《気休めの呪文》


陽炎の向こうに
見えた景色は
届きそうで届かなくて
笑ってしまう
頬を伝うしずく、一筋

ダレダッテソウサ
使い古された合い言葉
慰めにもならない
わかっててみんな
使うしかなくて

焦ってる
それはわかってる
選べないのは
知らないから
安らぐことなく
空回りして
目的地さえ
見失って

陽炎の向こうに
見える幻
つかめそうでつかめなくて
笑おうとして
不完全な形残る、笑み


ケッキョクソウサ
自嘲に重なる自嘲
そうやって防衛
折り重なる猜疑
自分だけじゃないよね

焦ってる
それを隠して
笑ってるのは
見せたくないから
誰に彼に
君に僕に
結局は矮小な自己


幼い頃
無邪気に信じてた
夢は幻で
叶える力がひとつふたつ
大きくなるごとに小さくなった
反比例をあっさりと
飲み下すたびに
熱がどんどん醒めていく

陽炎の向こうに
見える地平は
ゆらゆら揺れて
定まらなくて
踏み出す足も
所在不明で
どこに行くかも
置き忘れて
ぼんやりとただ
焦点定まらぬ瞳に
しずくが……

20100721
詩 《真夜中の追いかけっこ》
《真夜中の追いかけっこ》


なき声頼りに
君を探した
あの夜の気持ちは
どこかに置き去り
忘れちゃったよ

熱気は冷めて
風がゆるやかに
なぜていく頬
涙の痕がヒリヒリ

明るいね
満月だから
寂しいね
満月だから

空っぽの隣


なき声頼りに
探した僕は
あの夜の気持ちを
そっと閉じ込め
忘れたフリ

すっかり冷たくなった
公園のベンチ
寝転んだ
星がキラキラ

眩しいなぁ
満月だから
哀しいなぁ
満月だから

腕が空っぽ


追いかけていれば
追いついたかなんて
そんな楽観論は
置き去りにして
追いかけても
追いつけなかった
そんな悲観論も
投げつけて

もう一度
もう一度
もう一度だけ
許されるとしたら
何をしたい?

手をつなぎたい?
笑いあいたい?
キスをして抱きしめて
閉じ込めたい

全て空っぽの妄想

なき声頼りに
探すのを諦めた
僕の想いは
熱を失い
ポロポロと瞳から逃げていく

満月だけが
そんな僕を
追っかけてくれる


〈20010830〉
詩 【縛るもの】
【縛るもの】

僕を縛るもの、大好きな音楽。
僕を縛るもの、大好きな小説。
僕を縛るもの、大好きな絵画。
僕を縛るもの、大好きな散歩道。
僕を縛るもの、大好きな夜空。
僕を縛るもの、大好きな海岸。
僕を縛るもの、大好きなお店。
僕を縛るもの、大好きな食べ物。
僕を縛るもの、大好きな場所。
僕を縛るもの、大好きな家族。
僕を縛るもの、大好きな友人。
僕を縛るもの、大好きな、人。

沢山のものが鎖になって、
大好きなものが鎖になって、
色とりどりの、
様々な形の、
どれひとつ同じでない鎖になって、
僕を縛りつける、
僕をつなぎとめる、
この世界に。

それは重くなくて、
それは苦しくなくて、
それは辛くなくて。

それはとても嬉しくて、
それはとても楽しくて、
それはとても重くて。

僕はジャラジャラと盛大な音をたてて、
今日も歩いている。

2006/08/31
詩 《二者》
《二者》

足元が消えて
ふわふわ
どこを歩いているのか
君は知っているかい?

沈んでいく身体
浮かんでいく意識
離れていく僕と僕を
つなぎ合わせているのは
誰の願い
君の願い
僕の願い?

見下ろせば
途方に暮れる身体がひとつ
ふっと目が合い
思考の迷路
迷い込んだ僕を
君は見つけられるの?

ずっとずっと
奥に隠れている
あれは僕の本心か
あれは僕の本音か
セイカイはどこに隠れているのか
君は知ってる?

手を伸ばして
胸を突き刺し
取りだした心臓は
まだ脈打っているよ

僕と君の願いの形

20100519
詩 《他者の存在は、絶対の不干渉》
《他者の存在は、絶対の不干渉》

ボクの存在証明はキミ
キミの存在証明はボク

重なっていく吐息に
繋がっていく手の平

輪になれば
閉じていく世界
リアルを感知するのは
ボクだけではむずかしいのです

内側と外側の
境目を見つけるの
どうしても出来なくて


ボクの存在証明はキミ
キミの存在証明はボク

触れた先に拒絶
明確になる輪郭

曖昧な
世界が像を結んで
広がる世界に足がすくんだ


目印がない世界で
つながる手の平だけが確かです


微睡んでいればきっと
もっと穏やかに時は過ぎたでしょう

けれど


ボクの存在証明はキミ
キミの存在証明はボク

求めてしまえば
もう後には戻れない

はっきりしてしまったボクに
世界は広すぎます

けれど
この手の平の先にキミがいるから

ちっぽけなボクは息を吸って吐いて
自分だけの心臓が脈打ち始めた

20100307
詩〈記憶の中の消失ポイント〉

〈記憶の中の消失ポイント〉

人が心配してくれるとき
それはその人が心配してほしいこと

君は言いながら、
うっすらわらった。


雨の日
傘が揺れて
水滴がひとつふたつ


ワタシは雨音を聴きながら、
呆けたように傘を見ていた。

黒くて、大きな

すっぽりと隠してしまう

君を
ワタシを
視界から
切り取るように


心配してほしいの?

かすれた声

心配してほしいの

揺れる声


風が強く吹いて、
雨音がバタバタ響いた。

だから、
君の返事が聞こえなかった。


心配してくれるの?

心配してあげる


ワタシが聴きたかったのは、
どの返事だったかな。


黒い傘は、
全てを覆い隠して、
ワタシの視界の一部を切り取り、
見えなくした。


ざあっと雨が降り注いで、
閉じた目を開けたときには、
誰もいない。

濡れた服が気持ち悪くて、
はりつく髪がひりひりした。


心配してほしいの?

心配してくれるの?

ぱくぱくと口を開けて閉じて、
小さく呟いた。

その時の雨の味を覚えている。


2010227
《人の気持ちは四字》 詩
《人の気持ちは四字》

同じ景色
僕と君が
見ていた

二つの目
あわせて
重なる想

二重写し
ぴったり
少しズレ

それすら
面白くて
笑いあう

遠き記憶
輝いてる
僕の中で

君が笑う
残ってる
僕の中で

行方不明
宛先不明
記憶残滓

ゆっくり
胸に抱き
目を閉じ

ぬくもり
曖昧な熱
ひやりと

吐く息が
昇ってく
空へ宙へ

幻の如く
跡形なく
最初から

目を開き
見上げた
秋の昼間

空は薄く
冷たい風
僕の体温
奪われた


20091118
詩 《光の届かない深海の海底で眠ることを夢見る》
《光の届かない深海の海底で眠ることを夢見る》


窓の外 雨の音
ひきずられる 夢のはじまり
まぶた閉じれば
広がる
虚構に一握りの現実
願望
間違えた選択の
ありもしない展開


空になった ガラス
飲み干して
新しい レンズ
世界が歪むのが真実
願望の隙間に
醜い羨望と欲望
ただ解放されて
ぎらぎらしてる


青色
赤色
黄色
ただ塗り潰された無音の夢がみたいぼくは
引き換えの自由を得る


20091111
詩 《楽園》
《楽園》

低い空
厚く覆う雲
湿地
薄くかかる靄
切れ間から差し込む光の
帯 帯 帯……

生い茂る緑
乱立する樹木
さしこむ木漏れ日
天に延びる下草
影が駆け抜けた

青い空
雲が流れる
風が強く
ビュウビュウ
草が揺れる
遠くに虹のアーチ

見下ろせば緑の絨毯
調度品然とした岩の凹凸
隙間に広がる花畑
ゆらゆら
ゆらゆら
小さな花が揺れた


楽園
探しても見つからない


切り取られた空
光を反射するガラス張りのビル
熱気を生み出すアスファルト
排気ガスの群れ
人を急かすシステム

楽園は
見失われた

紛い物があふれる世界に
真実はあるのか

そう問いかければ

「君の胸にあるのは?
貰えるものじゃないでしょう」

言われて僕は、荒涼とした平原に種を植えた。


20091105
詩 《契約の果実》
《契約の果実》

熟れたザクロ
無知な娘
口づけて
歯を立てて
滴り落ちる 滴

熟れた果実
無知な娘
口づけて
爪を立てた
滴り落ちる 滴


ずっとずっとずっと
芳香を放ち
麻痺していく理性
無知なままで
知ろうともせず
真っ赤な唇
蠢く舌が這い回る
牙が笑った


ザクロの意味も知らずに
貪る娘は
鎖の意味も知らずに
笑っていて

泣いても 泣いても
鳴いても 鳴いても
もう遅い もう遅いよ


熟れた果実
無知な娘
歯を立たされ
こぼれ落ちる 滴

熟れたザクロ
無知な娘
爪を立たされ
こぼれ落ちた 滴

ザクロの香りが
満ちていた
熟れた芳香が
満ちていた


20091015
詩《あまやどり》
《あまやどり》

雨が
降っていて
それがアスファルトで
跳ねている
きまぐれに入った軒先で
それを見ていた

きらきらと
街灯の明かりで
水滴が宝石に変わる
ほら、あそこにもそこにも
王冠がきらめいて
宝石が散りばめられた

車のライトは
全てを照らし
そのまま通り過ぎていく

誰も価値を知らないの

勿体ないねと呟けば
先客のねこが鳴いた
雨が止まない

20091005
《自我を失う先にあるのは》
《自我を失う先にあるのは》


抑えつけてきた欲望
醜く歪んだ願望
放ってしまえば この心
楽になるのかな

ずっと ずっと
見ない振りして
笑い続けた僕の心は
何色をしてるか
鏡を見てもわからない
ソコにいるのはダレ?


縛りつけた衝動
正気なくして狂気
緩めたら この想いは
誰を切り刻むの

ずっと ずっと
無関心で無感情なのは
誰のせいでもなく 僕のため
守り続けたはずなのに
僕が見つからない
割れた鏡の破片
押し付けた


すべてを置き忘れた僕は
守りたかったはずの僕すら忘れて
ここにあるのはただの脱け殻
壊れたとして 誰が悲しむ?

ただ、狂気だけがうずまく

最後に残されたのは
醜い欠片
全てをさらけ出してしまおうか


ずっと ずっと
願っていたのは
欺いてきた笑顔の仮面脱ぎ捨て
冷酷な狂気の仮面をつけること
ピエロとなって
茶番劇の幕を閉じること

幕が閉じたら
僕が見つかるだろうか


涙流す道化師が一人
暗闇の中で立ち尽くす
真っ赤に染まった舞台の中央で……


20091004
詩 《真の平和とは、存在しないことにある》
《真の平和とは、存在しないことにある》

どこまでも
どこまでも
広がり続けると
無邪気に信じられていた
宇宙の未来は

実は

真逆の可能性に
あるらしい

何よりも軽い存在の集合体
それが世界を
縮小させ
収束させ
小さな穴に吸い込まれる砂のように
なかったことにするらしい
穴さえ残さず


広がる先に
ナニがあったのかは
知らないけれど
今、地球にはびこる
すれ違い
摩擦
誤解
疑心暗鬼
争いが
広がることだけはわかっていた


もし、世界が縮小し、収束し、
米粒よりも小さく小さく
ゴマよりも小さく小さくなって
最後にはぱちんとはじけるように無に還れば
誰もが望んでいた平和が訪れるのでしょう

それを喜ぶ人はもういないのだけれど

そこを天国だと言うのでしょうか
詩 《部屋の明かりは消して》

《部屋の明かりは消して》

灯を点して
寂しいわと君は言う

お気に入りのガラス細工
真っ赤な蝋燭

人魚の手造り
君は謳う

空のグラスを二脚
膨らんだ縁

なめらかに注がれる
真っ赤な液体

乾杯をしましょう
君は微笑む

かつん
と軽い音

僕は一気に飲み干して
空のグラスを見つめた

炎に照らされて
煌めいている

君のお気に入りのグラス
ひとり静かに動かない

そこに絡む白い指の
幻が一瞬で消える

もう、君はいないのに
グラスだけが僕を慰め

人魚の造った蝋燭が
君の幻を見せるのだ


画像配布元/
白黒アリス
http://hp.xxxxxxx.jp/dearegg/




《愛と言うには不確かなもの》 詩

《愛と言うには不確かなもの》


君に好意を持っているのです。

そう僕が言えば、
君の笑顔はどう変じるのでしょうか。

確かめる勇気のない僕は、
言葉を転がすだけで、
口から出すことはないのです。


僕は君に好意を持っているのでしょうか。

思うたびに僕は、
とらえどころのない自身の心に、
どうしようもなく振り回されるのです。


ただ、涙があふれるのです。
ただ、会いたいと思うのです。
ただ、声を聴きたいと思うのです。

これは一体なんなのでしょうか。

自分でもわからない気持ちに、
とりあえずの名前をつけて、
僕はこの苦しみを和らげようとするのです。

君はただ笑っていることでしょう。
僕もただ笑っていることでしょう。

見えないのは、
僕の思いなのです。

愚かな僕の惨めな姿を知られることだけが、
僕にとっての恐怖なのです。


僕は君に好意を持っているのです。
僕は君に好意を持っているのでしょうか。
答えは僕自身の中にあるはずなのに、
未だ、僕は見つけることが出来ません。

詩 《空を見上げて》
《空を見上げて》

月が浮かぶ手前に
 外灯が光つている
その下を
 僕は歩く

夜道を行く僕を照らすのは
 月か外灯か

光る外灯の群々は
 星々を蹴散らし
  月だけが浮かんでいる


 僕は
  月に照らされる砂漠の民よりも
  深い孤独の内にいる

物言わぬ月と
 物言えぬ外灯

有機物と無機物の下を
 僕は独り 夜道を歩く

詩《一葉の写真と向き合う独白》
《一葉の写真と向き合う独白》

まぶたを閉じると、
網膜上に焼き付けられた、
一枚の像が、
静謐な衝撃でもって、
僕を覆い尽くす。

儚くも圧倒的な、
コクビャクの濃淡は、
キョウキ的な勢いのまま、
浮き上がっている。

風に吹かれる前の、
厚く層を重ねた枝々、
僕はその一瞬を、
永遠の中で見守っている。

刹那、
永遠の先の果てでソレラは、
一斉に舞い散ったのだろうか。
季節外れの幻のように。

僕の目の前にはただ、
切り抜かれた一瞬が、
静止した未完の姿で、
存在している。


色を失った僕は、
転写された像に惑わされ、
冬と春の二重世界を見つけた。
そこではただ、静寂だけが降り積もっている。

僕の姿は吐息のひとつでさえも消えていた。


---------------------

先日観に行った展覧会の一枚の写真
が焼き付いてはなれません。
うまく言葉にならないかと足掻いてみても、字だけが滑っていきます。

写真てすごいのですね

もともと絵は好きですが、写真は記録写真しか観たことがなくて。でもやっぱり、写真にも作家の息吹きは吹き込まれるのですね。

もう一枚、好きになったのがありまして、それは月を撮ったのだったかしら。

映像(絵とかスケッチとかとか)に詩をつけるのは前にもしてて、
最近またやってみようかなと思いつつあります。

言葉はやっぱり難しい
映像に負けないようにするのが難しい
双子 ~only child~
二年か三年くらい前の作品

こういうお話は結構好きです。
[作品を読む]
詩 《亡き人へ》
《亡き人へ》

後悔と
懺悔と
怒りと
悲しみと

そして、
あふれる愛しさが、
はしばしでこぼれ落ちていく。

ふとした日々のひとコマに、
その姿が浮かんで、
遠くじゃなくて、
ずっと近くに、
感じている。

言葉の一つ一つがよみがえり。
伸ばせば手が届きそうな。

後悔と
懺悔と
怒りと
悲しみは
まだ胸にあるまま。
このまま抜けない棘のように、
覚えていたい。

あふれていく愛しさが、切なさと痛みを増すけれど。
それだけ僕の心は忘れずにいられる。
過去の人じゃなくて、
今の人として。

いつまでも、残っていたらいいよ。
ふとした拍子に現れて、
僕を切なくさせ、
支えてくれるから。

あなたの笑顔と
あなたの声。
僕を呼ぶ声。

いつまでもいつまでも
片づけられない。
僕の心に、置き去りのまま。

後悔も
懺悔も
怒りも
悲しみも、
そして、愛も。

--------------------


おば、祖父、祖母を亡くした記憶が、この季節には浮かんできます。
祖父以外は違う季節なんですが。
最期に何も出来なかった後悔が、祖父には特に強いのです。
それを言うなら、祖母にもおばにも。
ただ弱っていく姿しか見れなかったこと。もっと出来ることがあったはずだという思い。
でも、思い出すたびに、そんな自分への怒りを凌駕して、無条件に愛されたという気持ちが浮かんできて。また救われ、支えられていると思うのです。
プロフィール

HN:
ミツヒト
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むもの:ファンタジー、SF、時代劇、不思議系とか
書くもの:ファンタジー、不思議系

ブログ:徒然記
   http://blog.livedoor.jp/hachisu/
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